妊活

【婦人科専門医監修】
2人で始める「妊活」の基本と流れ

【婦人科専門医監修】2人で始める「妊活」の基本と流れ

「妊活」という言葉は世間に広く浸透していますが、いまだ、「主に女性が頑張るもの」というイメージが強いのではないでしょうか。「妊活」には当然、男性の協力が不可欠ですし、精神的な負担を女性ばかりに背負わせることの無いように、夫婦で穏やかな気持ちで進めていくことが大切ですね。
この記事では、「妊活」の第一歩として、夫婦で何を勉強し、どうアクションしていけば良いのか、その基本と流れを解説します。

松村圭子先生

松村 圭子 先生
Dr.Keiko Matsumura
医師 / 婦人科専門医

広島県出身。1995年広島大学医学部卒業後、同産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニック開院、院長に就任。婦人科疾患のみならず、女性のトータルケアをサポートする。婦人科専門医。講演、執筆、TV出演など幅広く活躍中。「わたしの温度®︎」の監修医。

まずは、2人で話してみよう

結婚した後、子供を望むかについて夫婦で話すことは、ごく自然な流れのように感じますが、何となく気恥ずかしかったり、本当に自身やパートナーが望んでいるのか確信が持てなかったり、まだ2人きりの時間を楽しみたかったりで、意外とちゃんと話し合いができていない方も多いのではないでしょうか。

しかし、夫婦でしっかりと話し合い、共通のプランを持っておくことは、後の「妊活」を穏やかな気持ちの中で進め、新しい命を授かるためにもやはり大変重要な第一歩なのだと思います。気を付けたいのは、話はしているけれど、全てが「何となく…」とあやふやだったり、「自然の成り行きに任せる」という状態になること。これでは時間が経過し、いざ本当に子供を授かりたいと思ったときには、心身共に余裕が持てない状況になってしまうケースも。
できれば、次の4つの項目を参考に、夫婦で具体的にしっかり話してみると良いでしょう。

① いつ頃「妊活」を始めるのか。

より具体的に、「来年4月から」、「新築の家に引っ越してから」、「次の仕事がひと段落したら…」など話し合っておくことが重要です。

② お互い、どのような「妊活」準備をするか。

女性だけでなく、男性にも妊活前から準備できることがあります。健康的な体づくりや、妊活に影響を及ぼす可能性のある疾病の有無などをあらかじめ確認しておくことで、後の「妊活」を効果的に進めることができるのです。例えば、妊娠中に風疹にかかるとおなかの赤ちゃんに影響が出る可能性があることは広く知られています。妊娠前に夫婦で風疹の予防接種はすませておきたいですね。

③ 将来的に何人子供が欲しい?

妊娠・出産には、時間的な制限や経済的な理由、仕事の事情なども複雑に絡み合ってきます。これをきっかけに広く将来設計を話し合っておくことも、お互いの気持ちを認識し、誤解を無くしておく意味で大切です。

④「妊活」の期間や方法を決めておく。

上記②の準備で特段の問題が無かった場合、まずは、タイミング法を試すことが一般的な「妊活」になります。タイミング法も簡単なようで、しっかりと取り組まなければ望む成果が得られないものです。この意味でも、一定の期間(例えば6カ月間、1年間)を決めて夫婦でしっかりと取り組んでみることをおすすめします。望ましいタイミング法の実践については、この後解説していきます。

上話し合いがしっかりできていないと、夫婦のどちらか片方に負担がかかってしまう「妊活」となってしまうので、「妊活」のスタートはやはり夫婦の会話からということになるでしょう。

健康な体づくりは「妊活」の基本

先ほど、“お互い、どのような「妊活」準備をしておくか”でも触れた健康的な体づくりについて詳しく解説します。
女性の人生における一大イベントである「妊娠」。晩婚化が進む中、初産の年齢も上昇していますが、女性の体はそんな事情はおかまい無し。加齢とともに妊娠力が低下していきます。「妊娠なんてまだ先の話」「自分は大丈夫」などと思わず、“産みたいときに産める体”でいるために、普段から日常生活に気を配り、自分の体を知っておくことが大切となります。
ここでは、妊娠しやすい体をつくるためにしておきたい5つのことをご紹介します。
これらは女性だけでなく、男性にも実践していただきたい内容となります。

① 安静時の体温変化を知る

妊娠の確率を高めるためには、排卵期を把握することが大切。その大きなカギとなるのが就寝時や起床直後など安静状態にあるときの体温変化の計測です。毎日安静時の温度を測定することで、女性特有のからだの温度リズムが分かり、排卵期を予測することができます。実際に温度を測るのは女性となりますが、妊活でタイミング法を実践するなら、男性も一緒に知っておいてほしい内容です。パートナーの排卵期がわかれば、妊娠のチャンスを最大限に活かせるようになるでしょう。

「わたしの温度®」は、専用ナイトプラを着用して寝るだけで、就寝中に計測が完了、面倒な手間はありません。記録は専用アプリで自動でグラフ化。計測を続けることで高温期と低温期のリズムをより具体的に把握できます。

※「わたしの温度®」は体温計(医療機器)ではなく、疾病の診断、治療または予防に使用されることを目的とするものではありません。衣服内温度データを利用して自己の健康管理をサポートするヘルスケアIoTサービスです。

② 体を冷やさない

体温が低いと、卵巣の機能が低下すると共に、卵子の質も低下してしまいます。エアコンで体を冷やさないよう注意し、入浴はシャワーで済ませずしっかり湯船につかって体を温めましょう。

③ 適度な運動をする

適度な運動をして、熱を生み出す筋肉を鍛えて冷えを防ぎましょう。運動することで卵巣の血流もアップし、卵子の質の低下を防いでくれます。ウォーキングやヨガなどがおすすめ。

④ 食生活を整える

甘いものの取りすぎ、肉類に偏った食事など、バランスを欠いた食生活は、卵子の状態を悪くしてしまう原因。冷たい食べ物や飲み物も、体を冷やしてしまうので注意が必要です。また、細胞の酸化は老化を加速させ、もちろん卵子の老化にもつながります。抗酸化成分を豊富に含む野菜、果物、魚介類などをバランス良く摂取するように心がけましょう。

⑤ ストレスの少ない生活

過度なストレスがかかると、ホルモンバランスが乱れて月経不順や無排卵を引き起こしたり、自律神経の働きが乱れて冷え、肩こり、頭痛などの不調をきたしたりすることも。音楽を聴く、読書する、散歩するなど自分なりのストレス解消法を持っておくと良いですね。

妊娠のしくみを知り、
タイミングを意識しよう

女性の「卵子」と男性の「精子」が出会って妊娠することから始まる「生命の誕生」。 妊娠は、①排卵②射精③受精④着床のプロセスを経て初めて成立します。まずは、妊娠が成立するまでのメカニズムをしっかりおさえておきましょう。

①排卵

排卵とは、卵子を包んでいる卵胞から卵子が排出されて、卵管に取り込まれる現象です。2週間ほどかけて直径2~3㎝の大きさになった卵胞が破裂し、卵子が卵巣から排出され、卵管の先から取り込まれます。

②射精

腟内に射精された精子は、子宮頸管しきゅうけいかん(子宮の入り口)を通って子宮内に入って卵管へと進み、排卵された卵子がやってくるのを待ちます。1回の射精で放出される精子は1億個以上といわれますが、ここへ来るまでにすでにほとんどの精子が脱落してしまいます。

③受精

卵管膨大部に到達した精子は、卵子がやってくるのを待ち、そこで卵子と出会います。そして、一つの精子が卵子に突入すると、他の精子は入れなくなります。

④着床

精子と卵子が出会ってできた受精卵は、細胞分裂を繰り返しながら子宮へと進んでいき、4日ほどかけて子宮内へ到達。女性ホルモンの作用でふかふかのベッドのようになった子宮内膜に、受精卵が根を下ろして着床すれば、妊娠の成立です。

これらのプロセスがすべてうまくいって初めて妊娠が成立します。精子と卵子の出会うタイミングが合わなかったりすると、プロセスのどこかに問題があると、妊娠には至らないのです。まさに妊娠は“神秘”といってもよいでしょう。

ここで重要となるのが、卵子と精子にも“寿命”があるということです。
卵巣内の未熟な卵子は、約1カ月に1回成熟して、卵巣から卵管へ排出されます(排卵)。この卵子が、卵管で精子と出会うと受精卵となります。この受精卵が卵管内を移動して子宮内膜に潜り込みます(着床)。
妊娠する可能性があるのは排卵日の6日前から排卵日の1日後ほど。ある論文によると、妊娠の可能性が最も高いのは排卵日の2日前、次いで高いのが排卵日の前日。卵子の寿命が約24時間、精子の寿命が約48~72時間なので、排卵日の6日前から48~72時間ごとに性交渉すると、妊娠の可能性がより高まるといえます。
排卵日を正確に知り、夫婦生活のタイミングを合わせることが、効率良い妊娠につながります。

「わたしの温度® 」では、パートナー連携機能により、男性もパートナーの温度リズムの変化や排卵のタイミングが把握できるようになり、妊娠のチャンスを逃しにくくなります。

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温度リズムの計測と、生理周期の把握

妊活にとって、排卵日を正確に把握することは、卵子の寿命が約24時間、精子の寿命が48~72時間程度であることから、極めて重要だということが、お分かりいただけたかと思いますが、この排卵日をどう正確に把握するかお話します。

排卵日は基礎体温の変化から予測

「基礎体温」とは、運動や飲食などの影響を受けていない安静時の体温のこと。女性は、女性ホルモンによって日々微妙に体温が変化し、その変化から様々な情報を得ることができます。一般的には、約28日の生理周期をベースに「低温期」と「高温期」の二相に分かれます。生理開始日~排卵は「低温期」、排卵後~次の生理開始日前は「高温期」となり、このサイクルにより排卵日が予測できます。

従来の基礎体温計を使った測り方は、
①起床直後のなるべく同じ時間に
②起き上がる前の安静な状態で
③舌の下で測る

つまり、朝目覚めたらすぐに、基礎体温計を舌の下に入れて、横になったままの状態で測定します。そしてすかさず、ノートなどに記録する…。といった要領です。ご自身の温度リズムを把握するためには、最低でも3カ月は記録をつけたいところですが、基礎体温計測・記録は大変で、この先「タイミング法」を行っていく上で、最初にして最大のハードルとなってしまう方も多いと思います。

最近ではこのような計測の悩みを解決できる、ウェアラブルデバイスで簡単に温度変化を把握できるツールも出てきているので、ご自身がストレス無く継続できる方法を見つけましょう。生理周期や基礎体温の記録ができるアプリを活用するのもおすすめです。

「わたしの温度®」は、安心してご利用いただくために、専門家の監修のもとで開発を行っています。また科学的検証も継続して行っています。

「わたしの温度®」の高い信頼性と有用性に関する論文が、国際ジャーナル「JMIR Formative Research 2024」に掲載されました。

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妊活の最初の一歩
「タイミング法」のコツ

妊娠の可能性がより高まる排卵期に合わせて、夫婦生活のタイミングを合わせることが、妊活のファーストステップ「タイミング法」です。タイミング法には、自分でタイミングを予測する自己流と、医師の指導のもとに行う場合があります。手軽に始めることができる自己流から始めてみて、一定期間たっても成功しない場合など、気になることがあれば医師に相談してみましょう。

繰り返しになりますが、タイミング法のコツは、排卵日を正確に予測すること。
排卵時期は「日々の基礎体温計測」や「排卵日予測検査薬」などで判断します。選択肢はいくつかありますので、自分たちが無理なくできるものを選びましょう。

タイミング法は、排卵予測日当日だけ性交渉を持てばよいと思っている人も少なくありませんが、それは間違い。排卵日当日よりも、排卵日の1~2日前にタイミングをとるほうが妊娠しやすいとされていますし、そもそも排卵自体が排卵予測日よりずれることもあります。この時期はいつもより多く性交渉を持てるようと、お互い意識しておくことが、早期妊娠のポイントといえます。

気軽にリーズナブルに取り組める自己流タイミング法ですが、ストレスや不規則な生活などが原因で生理が不順になるとうまくいかなくなることも。妊活の第一歩は、生活リズムを整えて、健康的な生活を送ること。そして日頃からお互い仲良く、ラブラブモードでいることも大切ですね。

「わたしの温度®」は、これからタイミング法を始める方、また、これまで温度リズム計測に挫折してしまった方など、多くの女性に寄り添う製品として推進している新しいヘルスケアIoTサービスです。パートナーと温度リズムの情報を共有できたりと、夫婦での妊活コミュニケーションツールとしてもご利用いただけます。

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