妊活

【婦人科専門医監修】
タイミング法から始めてみよう

【婦人科専門医監修】タイミング法から始めてみよう

妊活にはタイミングが重要であることは、多くの皆様がご存じかと思います。ここでは、単に性交渉を行うタイミングについてだけでなく、女性の生涯においてどの時期に妊活に取り組むと、妊娠の可能性がより高まるのかなどについても解説します。「いつかは妊活を…」と考えて過ごしていても、「気付けば加齢によって妊娠のハードルが高くなってしまっていた」という話もよく聞きます。具体的に何から始めるのかを夫婦で話しあう際にも役立つ内容となりますので、ぜひ事前に知っておいていただけたらと思います。

松村 圭子 先生

松村 圭子 先生
Dr.Keiko Matsumura
医師 / 婦人科専門医

広島県出身。1995年広島大学医学部卒業後、同産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニック開院、院長に就任。婦人科疾患のみならず、女性のトータルケアをサポートする。婦人科専門医。講演、執筆、TV出演など幅広く活躍中。「わたしの温度®︎」の監修医。

妊娠しやすいタイミング

「妊娠がしやすいベストタイミングはいつ?」の答えは「排卵日の2日前から前日」といえるでしょう。

妊娠する可能性があるのは、排卵日の6日前から排卵日の1日後ほど。海外の論文によると、妊娠の可能性が最も高いのは排卵日の2日前、次いで高いのが排卵日の前日。
卵子の寿命が約24時間、精子の寿命が約48~72時間なので、排卵日の6日前から48~72時間ごとに性交渉をすると、妊娠の可能性がより高まるといえます。

排卵日を正確に知り、夫婦生活のタイミングを合わせることが、効率の良い妊娠につながります。卵巣から排出された1個の卵子が卵管を通り、約1億の精子のうちたった一つと受精し、子宮に着床するのが妊娠。妊娠はまさに“神秘”ですね。

※【参考】「DavidB.Dunson,etal.,HumanReproduction,2002,Changes with age in the level and duration of fertility in the menstrual cycle,」

妊活のファーストステップ「タイミング法」とは?

排卵日を予測して、その時期に合わせて性交渉を持つのが、妊活のファーストステップ「タイミング法」。タイミング法には、自分でタイミングを予測する自己流と、医師の指導のもとに行う場合があります。ここでは、手軽にトライできる自己流タイミング法について解説しましょう。

タイミング法で妊娠の成功率を上げるには、排卵日を正確に予測することが重要です。そして、排卵時期の手掛かりになるのが「女性特有の温度リズム」「おりものの状態」「排卵日予測検査薬」です。

温度リズム

女性の温度は一定のリズムで変化しています。
この温度リズムを見ることで、排卵の有無や排卵の時期など体の状態を把握することができます。

おりものの状態

排卵日が近づくと、おりものが増え、卵の白身のように透明で糸を引くような状態に変化します。

排卵日予測検査薬

排卵直前に分泌が増加するホルモンをとらえて、排卵日を予測する検査薬。尿で手軽に検査ができます。

「1:妊娠しやすいタイミング」で解説したとおり、排卵日当日よりも、排卵日の1~2日前にタイミングをとるほうが妊娠しやすいとされています。排卵予測日当日だけ性交渉を持つのではなく、 この時期になるべく多く性交渉を持つことが、早期妊娠のポイントといえます。

温度リズムから排卵日を予測する

タイミング法においてもっとも重要なのが、排卵日を極力正確に把握することです。前述のとおり、温度リズムを知ることで、排卵の有無や排卵の時期など、体の状態を把握することができます。

排卵が起こるのは、低温期から高温期に移る時期です。
基礎体温が上昇し始める約3日間に排卵が起こることが多いですが、高温期に移る前にガクンと下がった時点(体温陥落日)やその直前に排卵が起こる場合もあります。
個人差がありますが、こうした目安となる変化によって、排卵日はある程度予測することができます。あとは自身の周期を確認しながら、排卵予測日の2日前、3日前をベースに性交渉をもつことが妊娠確率を高めるコツとなります。

ただ、この温度リズムの測定や排卵日の計算が思いのほか大変で、挫折してしまう方も多いようです。また、温度の変化は低温期と高温期で、わずか0.5℃未満の変化のことが多く、正確な測定も重要となります。

簡単なようで実は難しい、温度リズム測定による排卵日予測ですが、最近は簡単で正確に、温度リズムが測れる製品もありますので、自分の生活の中で取り入れやすいものを選ぶのもよいですね。

「わたしの温度®」はアプリHOME画面やグラフに排卵のタイミングが表示されます。パートナー連携機能により、男性も温度リズムの変化や排卵のタイミングが把握できるようになり、妊娠のチャンスを逃しにくくできます。

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よくある悩みと解決法

タイミングが分かれば、あとは、夫婦生活のみとなるのですが、ここでも悩みを抱える方が多くいらっしゃるのが現状です。仲の良い夫婦でもお互いに十分なコミュニケーションを心がけましょう。
悩みの解決法として工夫できることがありますが、いくつか参考までにご紹介します。

・自分からタイミングを伝えづらい。
・パートナーがタイミングを合わせてくれず、けんかになってしまう。

直接伝えずに、カレンダーに生理周期や排卵日予測を記入して情報共有してみましょう。

・パートナーが仕事や妊活のストレスで、積極的に協力してくれない。

「子供が欲しい」というお互いの気持ちを話し合ったり、排卵日の目安を日付で伝たりすることで、プレッシャーを感じないようにする工夫も。

・タイミングが合わず、なかなか妊娠できなくて焦ってしまう。

妊娠の仕組みやタイミングは月1回程度であることを改めて2人で理解し、タイミングの時期に有給休暇を使うなど、リラックスできる環境を作ってみましょう。

・タイミングを意識しすぎて、作業のようになってしまう。

普段の生活でも感謝の気持ちや愛情を伝えることを意識したり、一緒にお出かけしたりと2人の時間を楽しんでみましょう。

妊活中はさまざまな悩みが出てきますが、妊娠に関する正確な情報を知ることで解決できることもあります。また、お互いの知識の差がストレスになることも多いようです。パートナーにも妊娠の仕組みを知ってもらうことが大切なのかもしれません。

「わたしの温度®」アプリではあなたのリズムに合わせてアドバイス。専門家が執筆したコラムも毎週更新しています。女性向けはもちろん、男性に知っておいてほしい情報も!

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不妊が増加傾向に、20代からの備えも大切

健康なカップルが通常の性生活を営んでいる場合、1年で約80%、2年で約90%が妊娠するといわれています。以前、「不妊」は「妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているのに2年以上妊娠しない状態」と定義されていました。しかし、近年の日本において、晩婚・晩産化や仕事でのキャリア形成などによって妊娠年齢が上昇するなか、より早く適切な不妊治療を受けられるよう、不妊の定義が「2年」から「1年」に変更されました。

また、不妊の原因は、以前は主に女性側にあると考えられていましたが、現在は男女半々であることがわかっており、男女双方に原因があることもあります。

不妊の原因を突き止めることは、簡単ではありません。「精子と卵子が卵管で受精し、受精卵が子宮にたどりついて子宮内膜に着床する」というプロセスのどこかに一つでも異常があれば、妊娠しにくくなります。また、検査をしても原因がはっきりわからないケースも少なくありません。

最近増えている女性の不妊の傾向として、やはり晩婚・晩産化が挙げられます。卵巣の予備能力は、20代後半から少しずつ低下し始め、38歳くらいから急速に衰えることがわかっています。加齢とともに卵子の質も量も低下するため、妊娠しにくくなるのです。

普段、健康に生活している男女は、「望めばいつでも子供をもうけることができる」と思いがちですが、不妊症は、自分の健康状態とは関係無く起こるもの。しかし、不妊の原因は生活習慣や嗜好(しこう)、環境などによるものも少なくないので、日々の生活を見直し、改善していくことは大切です。

「わたしの温度®」は、これからタイミング法を始める方、また、これまで温度リズム計測に挫折してしまった方など、多くの女性に寄り添う製品として推進している新しいヘルスケアIoTサービスです。パートナーと温度リズムの情報を共有できたりと、夫婦での妊活コミュニケーションツールとしてもご利用いただけます。

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